枯本節 断面

かつお節は、燻したのち干して硬くなったものを節といい、それを削ったものが削り節となります。かつお節にも種類があり、味わい、香りなどが変わってきます。今回はかつお節の産地から、節の種類、保存方法、削り方などかつお節にまつわるいろはをご紹介いたします。

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目次

①かつお節の産地

②荒節、枯本節、本枯節

③かつお節の保存方法

④かつお節を削る

①かつお節の産地

代表的なかつお節の産地は鹿児島県(枕崎、指宿)と静岡県(焼津)です。この二県で全国生産量の98%を誇り、日本のかつお節・だし文化を支えています。

生産量が多い理由として、鰹の水揚げ量が関わってきます。古くから鹿児島、焼津にはかつお漁船の水揚げの地として根付き、港周辺にかつお節製造工場が増え現在に至るまでのかつお節製造につながっています。

産地で味が変わるといったことは少なく、各製造工場で一部細かい違いなどがありますが、基本的な製造工程は同じです。

かつお節は脂分が少ないかつおから製造することで、臭みがなく香りの良いおいしい出汁が出やすいのが特徴です。逆に脂分の多いかつおを節にすると、焙乾、干す時間が要し、水分、油分も抜け切らず硬い節ができづらい状況です。

焼津市に拠点を置く堅魚屋(株式会社新丸正)では、かつおの仕入れからひとつひとつ丁寧に骨抜き、整形、焙乾などの製造工程を経てかつお節を製造しています。さらにかつお節から削り節、だしパック、めんつゆといった加工品なども製造しています。

かつお節の製造過程

②荒節、本枯節

かつお節には荒節と本枯節の2種類に分けられます。それぞれ製造工程が異なり、香りやうま味などにも違いが出てきます。

かつお節は雄節・雌節と呼ばれる部位に切り分けます。雄節(おぶし)はかつおの背中側、雌節(めぶし)はかつおのお腹側を指します。雄節は筋肉質である部分でもあり、脂分が雌節よりも少なくさらさらとした感触で削り節に向いています。反対に雌節は内臓に近い場所にあることから脂肪分が雄節に比べ多くしっとりしており、だしを取るのに向いています。

荒節

荒節は節の状態で店頭などに並ぶことはなく、削り節として販売されることがほとんです。一般的にそれを「花かつお」と呼ばれています。

花かつお

かつお節は製造終盤でカビ付けの有無で節の種類が変わります。カビ付けを複数回重ね仕上げた節を本枯節。カビ付けせず、必要水分量迄干したかつお節を荒節と呼びます。

カビ付けをしない荒節は、媒乾(ばいかん:燻すこと)後に表面が黒く色変わりをします。また干す時間が本枯節よりも短い分、かつおの香りや風味が強く感じます。

製造工程においてはカビ付けや干す時間が短縮される分、削り節になるまで早いのが特徴です。流通量も多くご家庭で使うパックタイプの多くは荒節の削り節になります。

堅魚屋の花かつお62g

花かつお
お味噌汁やおすましなどにおすすめのさっぱりしただし感です。

本枯節

本枯節は前述通りカビ付けを2~3回程度行います。そのため荒節に比べると製造時間を要します。カビ付けと干す工程を行うことで表面の色が褐色化していき、さらに香り、味わいともに芳醇になります。削り節は口当たりがよくふわふわとした食感です。

本枯節

さらに一本ずつ丁寧に選別を行い、仕上げ、包装を行います。そのため高級な鰹節になることが多く、料亭、レストラン、ホテルなど料理をメインにされているお店に重宝されています。一時、家庭用需要が減少傾向でしたが、ふるさと納税や自宅でもお店のような削り節が食べたいというご要望もあり、本枯節と削り器をお求めになる方が増えてきています。

枯本節 断面

本枯節(雄節・雌節)

枯本節
削りやすくあっさりとした風味が特徴

本枯節のパックタイプもございます。荒節と比べると香り、風味は芳醇でサクサクといした食感が特徴的です。

駿河ふぶき(本枯節削り)

駿河ふぶき
荒節を約半年熟成させた
本枯節の削り節
駿河ふぶき

③かつお節の保存方法

かつお節の賞味期限は長く設定されていますが、開封後は保存方法によって風味や香りが落ちてしまうことがありますので、適切な保存方法をご紹介します。

かつお節の保存方法

かつお節は空気に触れると酸化や湿気で風味が落ちます。そのため、いかに密封できるかが重要です。開封後の節をラップなどで空気が入らないように密封します。節は一本ずつ密封することをおすすめします。しっかりと巻いたのち、保存袋に入れて二重にします。

保管場所においては、冷蔵または冷暗できる場所が適切です。本枯節はカビづけをしていますので、カビの繁殖を防ぐためには暑く熱がこもる場所、湿気の多い場所、日の当たる場所は避けましょう。冷暗場所も時折換気ができるところが望ましいです。

しっかりと保存・保管を行うことで、製造日から1年半~2年ほど賞味期限を保つことができます。

かつお節 保存

削り節の保存方法

かつお節同様、削り節も酸化、湿気を含むとおいしさが低下していきます。

本枯節の削り節は、一度に使う量(1~4g)に小分けし、ラップや袋で密封します。長期的に使う場合には冷凍保存がおすすめです。冷凍保存であれば質を落とすことなく利用することができます。製造日から約半年程度の賞味期限目安として保存してください。。2週間~1ヶ月程度で使用予定であれば冷蔵保存でも構いません。

パック分けされている削り節は使い切りサイズとなっておりますが、使い切れない場合においてもすぐ使う予定のない場合は適切な保存をし次回に利用しましょう。

④かつお節を削る

かつお節をご自宅で削られる場合は、かつお節専用の削り器をご用意ください。スーパーや生活雑貨店などにもお取り扱いが必ずしもある製品ではございませんので、お近くのかつお節・だし店やインターネットショッピングなどでお探しいただくと見つけやすくなります。

・「台屋」ウォルナット×青紙

新潟県三条市に構える1946年創業の有限会社山谷製作所。鰹節削り器の要となる鉋(かんな)の木部、「鉋台」を作り続けていり大工道具のメーカーです。鉋においては刃は鍛冶屋、鉋台は台屋と呼ばれ、現在は「台屋」ブランドとして削り器の製造をしております。

台屋の削り器の特徴は、機能的、使いやすい、長く使える、適正な価格という点です。手への馴染みやすさ、なめらかさ、重さ、サイズなど細かいところまでこだわりがあり、使い手の気持ちを考えて設計、製造されていることがよくわかります。

削り器 台屋

箱のウォルナットは色味、木目が美しい高級木材。全体を彩るブラウン色は落ち着きをもち、サイズもコンパクトで食卓に配置しても馴染みます。

表面には天然オイル仕上げをしており汚れがつきにくく、長持ちさせてくれます。ふたを閉じたときには継ぎ目がないほどのなめらかで、手を傷つける心配はなく、見事なまでの肌触りで正に職人技です。

刃は青紙鋼と呼ばれる高品質の刃を使用。長く使うには形状、研磨などの細かな技術が必要とされ丁寧に仕上げがされています。鰹節を削るための調整は出荷前に工場で確認されており、削ればその感触を味わうことができます。

硬いかつお節を削るためには精巧な刃、滑らかな木材の表面が重要になってきます。台屋はそれらを網羅している一級品の削り器です。

・鰹箱(カツバコ)王座

刃物の本場、新潟県三条市で1台ずつ手作りされており、便利な引き出し付きの鰹節削り器です。鉋台は堅い楢材で、鉋刃は堅い全鋼でできており長時間使用することができます。刃の調整もご自身で可能です。お掃除の際は小さいはけなどで粉を払ってください。箱は木材のため水分を含みすぎると変形、腐敗のおそれがありますので水での丸洗いはお控えください。しっかりと汚れをふき取りたい場合は、湿らせたふきんで軽く拭いたのち乾拭きし、乾燥させてください。

・貝印 鰹ぶし削り器

鉋部分は天然木、受け皿、カバーは樹脂製となっているため鉋部分を外して水洗いができます。水洗い後は、天然木が湿気を吸わないようしっかりと乾燥させてから鉋とカバーを合わせることをおすすめします。
収納・片付け時には、刃を覆うカバーがついているのでも安心です。中が見える受け皿のため、削り具合を確認しながら削ることができます。

貝印削り器

近頃の削り器は食卓に置いても馴染みやすいデザインです。食べたいときにさっと削り食べられる形でも良いかもしれませんね。

かつお節の削り方

まずは鉋のチェック。刃が1mm程度出た状態が削りやすくなります。刃を出しすぎると厚く削りすぎてしまい、堅い食感の削り節になりますのでご注意ください。

かつお節の持ち方

かつお節 持ち方

かつお節の頭を手首側にして持ちます。頭か尾かを判断するには、節の先がきゅっと細くなっているほうが頭になります。逆目で削ると粉が多くなります。

節の中央あたりを半身程度に握り、節の面を鉋に当て左手はしっかりと箱を抑えてください。削る方向は刃が手前に向いていますので、奥に押して削ります。慣れるまでは削る面を意識してけがをしないようゆっくり削ってください。

花は細かめに、小さすぎず大きすぎずを意識すると口当たりが良くなり香りがたちます。削っても細かくなってしまう場合は、節が硬すぎる場合もございますので削る面を少し温めるか、湿らせたふきんで削る面を濡らすと削りやすくなります。

削った削り節をごはん、お好み焼き、冷ややっこなど削り節定番料理のほかアレンジ料理や和え物などにたっぷりかけておいしくいただきましょう。普段の削り節との違いも楽しめます。

かつお節は日本の食文化に重要な食材のひとつです。古来より続いてきた料理をおいしく食べるための知恵を後世に繋ぎ、みんなでかつお節の良さを伝えて参りましょう。

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