だしを本格的に取りたいけれど「時間がかかる」「出汁の取り方が分からない」とお悩みの人は多いのではないでしょうか。出汁は手間をかけずに作ることができます。今回は、簡単にだしを取る方法やだし巻卵などの手軽にできるレシピもご紹介します。
<目次>
・厳選された素材を使っただしパック
・すぐに作れる顆粒だし
・冷蔵庫で作る水出しのだし
・だし専用容器を使って作るだし
・熱湯を注ぐだけのお手軽かつおだし
・冷蔵保存
・冷凍保存
・水出しのだしは継ぎ足ししてもいいの?
・だし汁は常温保存できる?
・だしを保存するのにはどんな容器がおすすめ?
・かつおぶしたっぷりの炊き込みご飯
・秋の味覚きのこの茶わん蒸し
・鮭とアスパラガスの南蛮漬け
・ふわふわに仕上がるだし巻卵
①まずは本格的な出汁の取り方をおさらい
日々の料理で本格的にだしを取るのは、面倒で時間がかかると考える方は多いのではないでしょうか。実際に素材からだしを取ってみると、味わい深く非常においしいと感じるはずです。
だしの素材の特徴や取り方をご紹介します。
かつおだし
和風だしの中でも代表的な「かつおだし」。やや酸味があって香り高く、そのままスープにしても、うま味の感じられるだしです。お吸い物や茶わん蒸し、味噌汁などさまざまな日本料理に合う万能選手です。
かつおだしの取り方(水1ℓに対しかつおぶし30g)
①鍋に鰹節を入れた水を入れ、沸騰させます。
②鰹節がなべ底に沈むまで待ちます。
③布巾などを敷いた、ザルでこします。
昆布だし
昆布だしは、上品でまろやかな味わいがする、和風だしでもよく使われるだし。動物性の食材を使わずに調理する精進料理でも好まれます。昆布だしは、味の主張は控えめでじっくりと味わえるのが特徴。煮物やすまし汁、おひたしなど品のある味わいになりますよ。
だしの取り方(水1ℓに対し昆布10~20g)
①固く絞った濡れ布巾で軽く拭いた昆布を、鍋に入った水に入れてつけ置きする。
②一時間ほど置いたら、鍋を中火にかけ沸騰直前で火を止め昆布を取り出す。
※沸騰させると昆布からぬめりが出るので、沸騰直前で火を止めましょう。
しいたけだし
濃厚な甘みが特徴のしいたけだし。材料は乾燥した椎茸を使用します。煮物やめんつゆにもよく合います。和食だけではなく中華にもおすすめのだしです。
だしの取り方(水1ℓに対し干し椎茸30g)
①ザルに干しシイタケを入れ、流水で洗い流すように水洗いし、汚れをしっかり落とします。
②分量の水に干し椎茸を入れる。
③冷蔵庫で10時間以上寝かせれば完成。
※干し椎茸は必ず冷蔵庫で寝かせましょう。10度以上の常温の場合うま味が破壊されてしまいます。
煮干しだし
みそ汁や鍋料理、ラーメンなどにおすすめなのが煮干しだし。煮干しとは、いわしなどのさまざまな小魚を乾燥させてもので、少し苦みを伴っていますがコクのある味わいです。鉄、リン、亜鉛、カルシウムなど豊富な栄養素を含んでいます。
だしの取り方(水に対して1%の煮干し)
<水出しの方法>
①煮干しの頭をとり、身を開いてはらわたを取る。
②煮干しを分量の水の中に入れる。
③冷蔵庫で数時間以上おけば完成。
<火入れしてだしを取る方法>
①煮干しの頭をとり、身を開いてはらわたを取る
②煮干しを水に入れて30分ほど置く。
③鍋に水と煮干しを入れて沸騰させる。
④アクを丁寧に取る。
⑤アクがとれたら、さらに5分ほど煮出せば完成。
②時間をかけずに簡単に!おいしいだしを取る方法
本格的な出汁の取り方をおさらいしましたが、手間がかかるのは事実。簡単にだしをとりたいと思う人が多いはずです。ここからは、時間をかけずに簡単においしい出汁を取る方法をご紹介していきます。
厳選された素材を使っただしパック
だしパックは、厳選された素材を使い本格的なだしが取れると人気があります。さまざまなブランドから、だしパックが販売されています。インターネットでも、「だしパック」とキーワードを入れて検索すると一覧を見ることが出来ます。
だしパックは、鍋に分量のお湯を入れ、沸騰してから3~5分でだしが完成します。
おすすめのおいしいだしパック! かつおと昆布の合わせだしパック「一番だし」
自社で製造した本枯節を厚めに削り、北海道産利尻昆布と合わせました。
鰹節と昆布のみのだしで、それ以外は何も加えておりません。
どこか昔懐かしいホッと落ち着く、芳醇な香りと濃厚なだしを是非ご堪能ください。
すぐに作れる顆粒だし
出汁の中でも、一番簡単に取れるのが顆粒だしです。顆粒だしは、だしの素材を加工し粉上にしたもの。お湯に溶かせばすぐに使えます。ただし、本格的なだしの味わいを求めると少し物足りないかもしれません。
冷蔵庫で作る水出しのだし
作り方はとてもシンプルです。かつおぶし、昆布など好みの素材をパックに入れて、水につけ冷蔵庫で6時間以上寝かせるだけです。水は水道水でOK。ポケットがついたお茶用の水出しポットやお茶パックにだしの材料を入れるとカスが出なくて便利です。
だし専用容器を使って作るだし
手軽でおいしいだしが取れると最近人気なのが、だし専用容器「だしポット」です。とくに、レンジで温めることができる耐熱性の素材タイプがおすすめ。かつおぶしや昆布などの素材と水を入れて、電子レンジにかけるだけ。だしが冷めたら、またレンジであたためたり、粗熱がとれたらそのまま冷蔵庫で保存できたりと作り置きにも便利です。
熱湯を注ぐだけのお手軽かつおだし
かつおだしは、熱湯を注ぐだけでお手軽にだしが取れます。必要な量だけだしが作れるのもおすすめポイントです。
<かつおだしの取り方>
1.耐熱容器などに茶こしをのせて、かつおぶしを入れる
2.沸かしたお湯を1のかつおぶしの上からゆっくりと注ぐ
③日々の料理に使うならおすすめの作り置き
だし汁は、作り置きをすることで使いたいときに使いたい分だけ利用できます。冷蔵保存、冷凍保存2通りの保存方法を解説します。
冷蔵保存
だしは、手軽に冷蔵保存ができます。ピッチャーやプラスチック製の容器に粗熱の取れただし汁を移し替え、冷蔵庫に入れるだけです。水出しで作っただしなら、そのまま冷蔵庫に入れっぱなしで作り置きできますよ。
冷蔵の保存期間は2~3日が目安となります。早めにだしを使い切る予定があるなら冷蔵保存がおすすめです。
冷凍保存
だし汁を長期保存したい方には、冷凍保存がおすすめです。小分けに冷凍し、利用したいタイミングで解凍すればOK。離乳食にもおすすめです。
保存方法は、粗熱を取っただしを製氷機または密封性のある保存容器に流し入れ、金属トレイの上にのせて冷凍庫で急速冷凍するだけです。だし汁が凍ったら、密閉できる保存袋に入れて保存しましょう。使う時は、使用する前日から冷蔵庫に移して解凍、もしくはレンジで解凍もできます。
だし汁の冷凍での保存期間は、1ヶ月程度。保存期間は長いとはいえ、時間が経てば経つほど風味は損なわれる可能性があるので、できるだけ早めに使い切るようにしましょう。
④だしの保存Q&A
水出しのだしは継ぎ足ししてもいいの?
水出しのだしは、冷蔵保存で2~3日が目安で使い切ります。そのため、継ぎ足してしまうと、先に作っただし汁と混ざり、保存期間の目安が不明に。水出しの作り置きは、ピッチャーや容器を分けるなど工夫が必要です。継ぎ足しは、風味を損ない劣化しやすくなるので注意しましょう。
だし汁は常温保存できる?
だし汁は常温保存できません。かつおぶしや昆布でとっただしは傷みやすいためです。暑い時期は特に注意しましょう。
だしを保存するのにはどんな容器がおすすめ?
冷凍保存するなら、製氷機でだし汁を凍らせて密封性の高いビニール袋へ。冷蔵保存であれば、ピッチャーやプラスチック製の保存容器がおすすめです。だし専用の保存容器も販売されています。ストレーナーがついているので、水出しまたはレンジで温めて出汁を取った後に、そのまま保存できるので便利です。
⑤だしを使ったおすすめレシピ
簡単にだしをとったり、作り置きをしたりとおいしい出汁は想像以上に簡単に作れる印象を持った方もいるのではないでしょうか。ここからは、だしを使ったおすすめレシピをご紹介。だしにこだわることで味の深みを出せるレシピを集めました。
かつお節たっぷりの炊き込みご飯
かつおぶしのだし汁でつくる炊き込みご飯です。塩分少なめでも、だしのうま味で味わい深い仕上がりになりますよ。だしがらも入れるので、無駄なくおいしい炊き込みご飯に仕上がります。
<材料>(2人分)
・お米 2合
・だし汁(花かつお使用) 400ml
・しめじ 1/2パック
・にんじん 1/2本
・三つ葉 少量
・だしがらのかつお節 適量
・醤油 大さじ2
・酒 大さじ1
<作り方>
1.米を研いで30分ほど水に浸し、サルに上げて水気を切る
2.しめじ、舞茸は食べやすい大きさに手でほぐし、にんじんは細切りに、三つ葉はざく切りにする
3.炊飯器に米と目盛までだし汁とだしがらを入れ、醤油、酒を加えたらしめじ、舞茸、にんじんをのせて炊く
4.炊けたら軽く混ぜてお茶碗によそい、三つ葉を添えてできあがり
※おすすめポイント
だしがらは、少し入れすぎたかも…と思うくらい思い切って入れてみるとよいですよ。かつおの風味がしっかりごはんに乗り、何杯でも食べられます。
お味噌汁やおすましなどにおすすめのさっぱりしただし感です。水200CCを加熱したら弱火にして本品を10g入れ、アクを取りながら2~3分煮れば香り高いおだしがとれます。
香りと食感を存分にお楽しみいただけます。
鮭とアスパラガスの南蛮漬け
味わい深いだしのコクとさわやかな酸味がベストマッチ。冷蔵庫で2~3日は持ちます。保存する場合は、だし汁は直前につくりましょう。
<材料>(2人分)
・鮭 2切れ
・アスパラガス 2切れ
・玉ねぎ 1/2個(100g)
・だしパック 1袋
・水 400ml
・揚げ油 適量
・片栗粉 適量
・塩 適量
【A】
・酢 大さじ2
・砂糖 大さじ4
・薄口醤油 大さじ2
・輪唐辛子 適量
<作り方>
①玉ねぎは縦に薄切りにし、塩水につけて辛味を抜いて水気をきっておく
②鍋に【A】の材料を入れて強火にかけ、煮立ったら火を止めて玉ねぎを入れる
③水400㏄にだしパックを入れ沸騰したら弱火にして5分程煮出す。だしと2を合わせ(鮭の塩分を考慮して)塩で味を整え漬け汁にしておく
④鮭は食べやすい大きさに切り、小麦粉を薄くまぶし、アスパラガスは斜めに4等分に切る
⑤揚げ油を180℃に熱し、鮭をからりと揚げ、アスパラガスはサッと素揚げする
⑥漬け汁に揚げた鮭、アスパラガスを入れて全体にからめ、5分程置く。好みで冷蔵庫で冷やしてもOK(冷蔵庫で2~3日は持ちます)
※おすすめポイント
だしパックの味が活かされるので、シンプルな調味料でも簡単に味が決まります。
ふわふわに仕上がるだし巻卵
だし巻卵のおいしさの決め手はだし。作り置きや簡単に取っただしでつくれば時短にもなります。プロが実践するだし巻卵のレシピをご紹介します。
<材料>(2人分)
・卵 2個(Mサイズ)
・だし汁 45㎖(かつおだしまたは合わせだしがおすすめ)
・醤油 小さじ1/2
・砂糖 小さじ1/4
・塩 少々
・サラダ油 適量
<作り方>
①ボウルに卵を割り、卵白を切るように卵黄と均一に混ぜる
②ザルで卵をこす
③だし汁、醤油、砂糖、塩を入れてさらに混ぜる
④卵焼き用のフライパンに、サラダ油を丁寧に塗り中火で熱する
⑤溶いた卵の1/3量をフライパンに流し入れ広げる
⑥半熟になったら、卵を巻き(奥から手前)、巻き終わったら奥にずらす
⑦サラダ油をフライパンに丁寧に塗り、卵液の1/3を流し入れ、6の作業を繰りかえす
⑧残りの1/3の卵液まで巻き終えたら、フライパンから取り出し、キッチンペーパーで余分な油を取る
⑨あまり細かすぎずにサイズを整えて切ったら、器にのせて完成
※おすすめポイント
だし巻卵は、中火で焼くのがポイント。きめが細かくきれいな仕上がりになりますよ。
⑥おいしいだしで料理のレパートリーを増やそう
料理の初心者の方や、忙しくて時間のない方は本格的なだしづくりはハードルが高いと考えている方もいるでしょう。簡単なだしの取り方を覚えれば、「思ったよりも手軽にできた」と思うはずです。
ぜひ手軽においしい出汁を取って、料理のレパートリーを増やしていただけたらうれしいです。